GISの活用例:(架空)佐伯区住宅団地新規造成プロジェクト
現在公開されているデータだけを使って、机上作業でどこまでできるか実験してみました。
佐伯区の全景です。
メッシュ標高(10m)です。
緑->黄色->赤の順に、標高が高くなります。
現在の土地利用状況です。
ほとんどの範囲が森林(緑色)ですね。
土砂災害危険区域(土石流、地すべり、急傾斜地)です。
都市計画で定められた用途地域です。
メッシュ標高を使って傾斜方位を計算し、南斜面(平地を含む)を抽出しました。
メッシュ標高を使って傾斜角度を計算し、比較的緩やか(15度以下)な範囲を抽出しました。
南斜面かつ緩やかである範囲(以下、南向き緩やか面)を抜き出しました。
南向き緩やか面から、
・土地利用状況が湖沼、住宅地、道路、河川鉄道等
・土砂災害危険区域
・用途地域が商業地域、工業地域等
に重なる範囲を消去しました。
これで、概ね最小限の条件を満たす造成適地を抽出できました。
しかし、これで終わりではありません。検討すべき要素は、まだたくさんあります。
市街化調整区域では、原則として住宅の建設が行えません。
公開されている情報が古いのかも知れませんが、見たところ佐伯区内では市街化調整区域の指定がなされていない様です。
都市公園に重なる部分を削除しました。
佐伯区内を流れる主要河川(1/25000地図レベルで名称が確認できるもの)を抽出しました。
主要河川から50m以内にある部分を消去しました。
標高データを使って、より細かい河川(水の流れ)を求めました。
細かい河川から30m以内にある部分を消去しました。
開発候補地の選定はかなり進みましたが、ここで「実際に造成工事を行う事ができるのか」という観点を入れます。
具体的には「既往道路に近い範囲」を調べます。
杉並台団地の場合、造成時に既往の県道292号から引き込み道路を約350m施工しています。
これを参考として「既往道路から400m以内に関係する範囲」を抽出しました。
更に、既往道路から10m以内の範囲を消去しました。
今回のプロジェクトの目的は「新規の住宅団地」です。単独の住宅ではありません。
そこで、面積が2ha以上の箇所のみを抽出しました。
全部で13箇所です。
・高校の敷地に重なっている
・海岸沿いのグラウンドとして利用されている
ものを除外し、11箇所が残りました。
5番と9番は、住宅団地としては形状が思わしくありません。
3番と8番は、抱き合わせで造成するというのも良いでしょう。
既存のバス停を示しました。
交通の便は、1番と10番が良さそうです。
1番と10番をGoogleEarthで3D表示させました。
地点10から見える範囲を解析しました。
色が濃いほど「住宅団地内からよく見える」を表します。